「インクルーシブな保育」導入のススメ

若月芳浩著/中央法規出版(2022)

読むきっかけ

 初めて障がい児を受け持つことになった時に買った本。「インクルーシブ保育って何?」と漠然とした問いの答えが欲しくて選んだ。

あらすじ

 障害のある子どもの保育に取り組んできた著者が、配慮が必要な子どもを受け入れる意義や手法を紐解く。障害のある子の受け入れでなぜ保育の質が上がるのかがわかる。「手間がかかる」「クラス運営に支障が出る」などの不安を払拭し、インクルーシブな保育へ踏み出すための1冊。

ノート

 ”「対等」とは相手の状況を理解し、いつ、どこで、どのように対応することが大切かを瞬時に判断して行動することです。助けてあげるという意識ではなく、仲間として生活する姿です。「関わってあげる」「配慮してあげる」と言った少し上からの目線で子どもを見てしまうと、世話をすることが思いやりという解釈につながる可能性があります。”

 初めの方は私たち大人は関わり方がわからなかった。ただ「病気だから」という言葉だけは使いたくなかった。ありのままのその子の様子を子ども達に伝えると、「僕たちも助けてもらうことがある(誰かに)、それと一緒だね」と返してくれたことが、インクルーシブ保育を感じられた瞬間だった。世話をする・やってあげるではなく尊重する・待つ姿が育っていく様子に、集団保育の育ち合いの良さを感じることができた。

”入園当初は保育室にいること自体が難しかったり、集団生活の中で特異な行動が目立つ場合があります。このような時が関わりの始まりであり、保育を見直す視点を検討する時なのです。”

診断がついていなくても不適切な行動をする子はいる。まずは子どもの「好き」を探すこと、保育環境を考えることが大切なのだと思った。そのためには担当クラスだけではなく、園全体で支えることが必要である。職員の数は必要最低限なことが多いので、クラスごとと捉えずに、柔軟な保育体制を園運営で広めていかなくてはならない。一人で抱え込まず、巻き込む気持ちを持っていこうと思う。

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