泣く子=感情を素直に出せる子 に疑問を感じた話

保育の話

年長の子ども達とうさぎのお別れ

年長児を担任していたときの話です。年長児は飼育当番として、保育園で飼っている動物のお世話をしています。当時はうさぎと飼っていました。そのうさぎの確かな年齢はわかりませんが、10歳は超えているおじいちゃんのうさぎでした。2〜3年前まではケージから脱走し、子ども達が一生懸命追いかけて捕まえるほど元気でしたが、私が担任している間に目を悪くして病院に連れて行ったり、ピョンピョン走ることも無くなり、ちょこちょこと園庭を子ども達が見守る中ゆっくり散歩をするくらいになってしまいました。子ども達もその変化を感じ取り、「もうおじいちゃんだから優しくしてね」と小さい学年の子ども達に伝えていました。

 1月の終わりごろに、鍵の鍵開け当番で私が最初に出勤し、ウサギのケージを見るとそのウサギが亡くなっていました。ひとりぼっちで逝かせてしまったというショックで泣いてしまったのを覚えています。子ども達が登園し、朝の会が始まったところで、その事実を伝えました。そこで子ども達は「かわいそう」と言う言葉を発したことを覚えています。その様子を見ていた副園長から後ほど、「世話をしていたうさぎが亡くなったのに誰も泣かないなんて冷たいね」と言われました。聞いた瞬間、何を言われているのか分からない程の衝撃でした。

泣く、泣かないの違いってなんだろう?

涙を流す子だけが素直に感情を出しているのかな?

泣かないから大事にしていないのかな?

子ども達の「かわいそう」の言葉の内側を考えようとは思わなかったのかな?

かわいそうの裏には様々な子供たちの感情が混ざっていると思います。悲しさを噛み締めてその言葉に出しているのだとは感じないのかなあと残念になり、この人とは保育感が合わないなと割り切ることにしました。反面教師になってくれたのだと思うことにします。

 うさぎが亡くなった事をクラスの連絡ボードに書いたところ、兄弟関係を通じて卒園児にも伝わり、お花やお手紙を持ってきてくれる家庭がたくさんいました。保育園にあったバスケットに保冷剤を敷き詰めうさぎを寝かせ、クラスの子ども達と折り紙や京花紙でお花を入れて、届けてくれたお花や手紙を入れ送る準備をしました。最後に子ども達とお別れをして、お世話になっていた動物病院に連れて行き火葬をお願いしました。このようにお別れの準備をする子ども達の何が冷たいのでしょうか。年長の3学期に起こった重たい出来事でしたが、命の大切さを知らせる生きた経験だったなと感じました。

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